効率化よりも大事なこと

介護職は、働くスタッフの心身ともに大変負担がかかる仕事と言えます。はじめはやる気があって乗り切れていくことでも長く続けていくことでマンネリ化してきてしまったり、効率の良さを求めてしまったりしがちです。画一的な処理をしたほうがスムーズに仕事が進むという事もあります。仕事としては効率化できることは良いことですが、あまりに効率を求めてしまうと高齢者の尊厳を踏みにじってしまう恐れもあります。

要介護者、と一括で捉えてしまいがちですが、一人一人の考え方、感じ方、症状は違います。それを考慮することなく、出来るだけ効率的に業務をこなしていくという事を続けてしまうと、一人一人が持っている尊厳といったものが無視されがちになるのです。身の回りのことは自分でしたい、と思っている高齢者がいたとしても、それを見守っている人員も時間の余裕もなくスタッフが介助をしてしまう事で、高齢者自身の思いを否定してしまうことになります。何か個別の希望があっても、余裕がないことでそれを聞き入れることすらしないという事も起こります。

尊厳を守っていくことによって、生きていく意味を見いだせるなどプラスに働くこともあります。排泄などもできるだけ自分で行う事で、運動機能の維持につながることもあるのです。こうしたプラスの意味もあるという事を意識して、出来るだけ尊厳を守っていく介護を目指すことが重要です。個人の努力だけではなく人員などに余裕を持てるような全体的な改革も必要と言えます。